60日目

道の駅「かづの」〜妻の神広場キャンプ場

知り合ったチャリダーさんと八幡平へ行ってきました。
見てきたのは赤と白の世界。危うく現実世界から脱出してしまうところでした。
山はお腹いっぱいなので、そろそろ海沿いを走りたいです。



今日は晴れたので、出会ったチャリダーとともに南へ向かいます。向かうは八幡平!
チャリダーさんは以前登ったことがあるらしく、かなりきつかったということだ。なに、望むところだ。
しかし二人で走ると楽しいものだ。途中まで仲良く行動。八幡平の登りが始まり、ドライバーさんに応援されながら上を目指す。しかし途中までは思ったほどではなく、ぐいぐい登る。
チャリダーさんはこれから南へ行くので、途中でお別れ。私は八幡平山頂を目指す。
ここからが地獄だった。とにかく坂が急。そして道がぐねぐねして、終わりが見えない。しんどい!だが、インナーギアは使わない。これは本当に非常用だからだ。
それにしても紅葉がきれいだ。時折高台から下を見ると、いろいろな色に染まった木々をみることができる。雲が多いがはれているので、いいいい光景だった。そう、だったのだ。
途中まで登ると、なんとゲートが閉まっていた。まさかの通行止め!?しかし話によると12時から開通らしい。工事のため?ともかく30分ほど時間を潰す。しかし時間を潰すのも大変だ。寒いのだ。上がってくるとき地上が6度。標高はすでに800メートルを超え、200メートルごとに1度下がると考えるとー4度で、現在2度しかない計算になる。日が昇ってきたとはいえ、汗が冷え出しかなり辛い。
予定通り開通し、待っていた車が一斉にゲートになだれ込む。その波に乗ってヒルクライム再開。
だが、ここからはさらなる地獄だった。まず、白い。何が白いって路肩が。なんで白いかって言うと雪が積もっているから。


…雪?


そう、八幡平は積雪していた。路面はある程度乾いているが、少し目を横に向けるとそこは銀世界。まさか10月でこの光景をお目にかかるとは。吐く息が白い。風が恐ろしく冷たい。先ほどまでは赤い世界、次は白い世界。地獄だった。
坂もかなり急である。寒さで体が動かないのもあるが、かなり辛い。たぶん、今回の旅で一番辛い。大きく息を吸うと、冷たい空気が喉を刺す。そして咳こむ。何度か脚をつきそうになるが、我慢。とにかく根性で坂を登る。

そして、展望台へとたどり着いた。そこには、息をのむ光景が広がっていた。銀世界と紅葉を同時に見る、そんな光景。写真を撮ろうとしてiPhoneを取り出し、何枚か撮った。そのときのバッテリーは90パーセント。だが、電源が落ちた。たぶん、寒さで電圧が落ちたのだろう。ダイソーで買った温度計は、「0」を指していた。
…確かに寒い。先ほどまで動いていたので気づかなかったが、やばいぐらい寒い。寒すぎる。いや、本当にまずいぞこれは。
汗が冷え始める。やばい!死ぬ!動かねば!
しかし少し登って登頂おめでとう!いやいや、ちょっと待って、ますます寒くなってない!道路の一部は凍っており、かなり危険な状態。風がかなり強く吹いており、体温がどんどん奪われる。急いで降りないと、本当に危ない。そのときの温度は分からないが、体感温度はー10度ぐらいだった。
ダウンヒル開始。だめだ、寒すぎる…。速度を上げると風で体温が奪われる。ブレーキを握るが、路面が凍ったり濡れたりして、効きが悪い。寒さで指先にも力が入らない。精一杯の力で、ブレーキを握った。
早く降りたい一心で、坂をのろのろと下る。遠くに見える地上は、まだまだ遠くだ。
しかし、無情にも景色はよかった。見慣れない銀世界は、とても美しかった。だが、今それをじっくりみる余裕はない。一秒でも早く降りたかった。
ある程度標高が落ち、ある程度スピードが出せる温度となる。車もいないのでブレーキを離してみると、何もせずとも60キロまで加速。どんだけ急なんだよここの坂は…。フル装備の自転車ではそんな高速では危険なので、やっぱり速度調整しながら降りる。
途中スノーシェルターがいくつかあったが、あれには助けられた。というのも、中が暖かいのだ。夏は涼をとったトンネルのように、暖をとるスノーシェルター。同じような形のものでも、役割が違うものだ。
紅葉の標高まで降りてくる。やはりきれいだ。が、ここまで降りてくるのにかなりの体温を奪われた。もうヘロヘロだ。途中のカーブでアウトに膨らみすぎてカードレールにぶつかりそうになったりと、体は疲れ切っている。
休憩所のようなところで少し休憩。山頂付近と比べだいぶ暖かくなっているが、体温が戻らない。温かい飲み物を飲むが、そこまで効果はなかった。
温泉に入りたい。心の底からそれを願った。
しかしそのためには下らないといけない。最後のダウンヒル開始。体は冷え切っているが、とにかく下る。分かったのは、夏はダウンヒル、冬はヒルクライムがいい!ということ。
降りきったところで物産館のようなところがあったので、そこで食事をすることにした。何も迷わずカレーを頼む。カレーパワーで暖まるのだ!が、優しい甘口でちっとも暖まらなかった。
食事を終え、最寄りの温泉へ向かう。これで冷えた体も回復だ!なんて思っていたが、漕ぎ始めるとすぐに体温は暖まるもので、着いたときには汗だくだった。
ともかく森乃湯に入浴。意外と綺麗な施設でよかったです。温泉は硫黄系なので、少し臭います。
暖まったところで今日の寝床、妻の神広場キャンプ場に到着し、現在に至ります。

到着してまず夕食の準備。昨日考えた「マグカップでパスタは作れるか?」を実践してみました。とりあえずパスタを半分に折ってやってみたのですが、結果は失敗。というのも、何本かそこにへばりついてしまいました。一番底を混ぜるのはなにげに難しく、たぶん改善不可能。チタンのマグカップというのがいけなかったのか?どちらにせよ、コッヘルでやるのが一番間違いありません。
結論。日本人は米。


明日は盛岡方面を目指します。その後は太平洋側に抜けたいのですが、抜けるにしても、いいルートが無い。地図をみる限るずっと山道である。山を走るのはいいとして、問題は寝床が確保できないこと。道の駅があるとはいっても、行程がやや厳しい。
もっとも安全なのは、盛岡から仙台まで下ること。仙台から太平洋側はすぐそこなので、そこから太平洋側を走るのがもっとも楽だろう。
できることなら被災地の助けにもなりたいが、助けられる側になるのは避けたいのだ。
明日以降のルートは、もうちょっと吟味が必要です。