57日目

宇樽部キャンプ場〜大湯温泉いずみ荘

朝から、いや夜から大変だった一日。体に疲労が溜まってきたが、機材も同じ。体、自転車、テント。だんだんとガタが出始めました。
やはり本州の山はキツイ。フル装備の自転車で走るのは軽く自殺行為だ。だが、走るけど。



昨夜の話。
何気なく寝袋から手を出すと、冷たい感触がした。外は雨だ、仕方ない。


…いや待て。湿ってない?いや、濡れてない?いやいや、浸水してない?

飛び起きてライトで確認。そこに広がっていたのは地獄絵図。テントが水浸しになっていた。寝袋はかろうじでマットがあったので水没は免れていたが、マットからはみ出した部分が濡れていた。

これは…緊急事態だ!


どうする?どうすればいい?というかなんで浸水してるの?こういうことは過去にもあったが、ここまで酷いのは初めてだ。明らかに悪化している。原因はなにか。それを探るのは後だ。とりあえず今この状況をなんとかしよう。

……

………!


閃いた!予備のブルーシートをテントの上に引き、万事解決。いや、根本的には解決してないけど、眠ることに支障はなくなったはず。が、そんなことしていたら目が冴えてしまい、眠れない。さらに寝袋の下、ブルーシートの下は水なので、ひんやりして眠れない。記憶があるだけでも夜3時まで寝袋でもぞもぞしていた。

なので、起床は8時。かなり寝坊だ。起きるなりテントの中の物をすべて出して原因究明にとりかかる。テントが破れている形跡はない。自分が寝ている部分だけ水たまりができているので、やはり下から浸水してきたのだろうか?だが、下にはブルーシートがある。
テントを動かしてブルーシートを見ても、異常がない。そして、ブルーシートはほとんど濡れていない。

つまり、上からの浸水。

しかしどこから?考えられるのはシームテープの剥がれだ。それしかもう考えられない。しかし見たところ異常はない。もう訳が分からない。もう面倒なのでテントを買い換えようかとも考えた。
だが、テントを乾かしていてなんとなく場所が特定できた気がした。たぶん寝た時に足側になる方の隅。ここが一番濡れている。ここはポールと接続する部分で、ここにはフライもつなげている。そして、フライに溜まった水はここに集まって流れていく。ここは防水処理されているので問題なかったが、たぶんここのシームテープが弱まっているのではないだろうか?
いや、仮説だけど。この仮説を実証するには簡単で、フライをここ(テント)に接続せず、離した位置にペグダウンすればいい。するとテントとフライが離れ、雨にあたる量は激減する。
ところでここまで書いておいて、状況分かりました?とにかく浸水するから雨の日はテントを張るのはできるだけ避けるようにします。

そんなこんなで出発は10時。反時計回りに十和田湖を周るため、移動開始。朝のゴタゴタで朝飯を食べてない。そのため空腹で仕方ない。しかしここは観光地。食事処なんていくらでもある、はず。
案の定バスターミナルのようなとこで食事処を発見。しかし、人大杉。それでも食堂へ行くが、今度は値段高杉。蕎麦に1000円ってなにの冗談?しかし、それ以外はもっと高いのでそれを頼む。
味「普通。私なら200円で作れる」

さて、腹も膨れたところで北へ向かう。今日は十和田湖観光だ!なんて一瞬テンション上がったが、一瞬で落ちるところまで落ちる。なぜなら、崩落で通行止めだからだ。
テンション落ちて走る気が無くなるが、とりあえず時計回りに変更して走る。でも通行止めなので、結局一周はできない。そう考えるとモチベーションが保てず、ペースも伸びない。
それでも乙女の像ぐらい見ていこうと思いそこまで行くが、人超大杉。観光する気なんかならないが、とりあえず乙女の像を見るだけ見て自転車に戻る。今日のテンションはとてつもなくドライ。ときどきこういうテンションになるが、こういう時は何しても興奮しないものである。
どこかで休憩しようと思ったが、どこも満員御礼みたいなので先を急ぐ。また食事処があるだろう、と軽い気持ちで進むが、それっきりだった。
生出キャンプ場を抜け、発荷峠に続く道が見えた。十和田湖を充分満喫した気になったので、先を急ぐことにした。しかし、この時体は少し異常を発していた。
異常を発しだしたのは実は北海道から。富良野を抜けた辺りから、どうも調子が悪い。たぶんだけど、単純に疲労が溜まってきているのだと思う。とにかく最近眠いのだ。腹も減る。しかし食欲はない。明らかにペダルを回す力は入らず、ペースはかなりスローリー。
そしてこの時、空腹が限界に来ようとしていた。行動食をほとんど食べ尽くしてしまい、峠を前にかなりピンチだ。
なんとか展望台まで登り、おみやげ屋が見えた。おみやげ屋の二階は食堂か、助かった…。が、「今季の営業は終わりました」とのこと。なんてこったい…。
仕方なくおみやげ屋で焼きまんじゅうを焼いていたの少々高いが食べる。今はもう何食っても美味い。ただ、300円は高くね?一応展望台に行くと、案内の人に声をかけられる。いろいろと話しかけられ、日本一周をしている旨を話すと「この人自転車で日本一周しているそうですよ〜」と観光客に大きな声で宣伝。だが、総スカン。自分がやったわけじゃないのに、かなり恥ずかしかったです。
少々腹は減っているが、峠を登る。此処から先もかなり辛い…。道が狭くカーブも急だが大型の観光バスやトラックは走る。坂も辛いが交通のタイミングを図らないといけないので、いろいろと疲れる。
ようやく登り終え、ここからは長い長いダウンヒルダウンヒルってことは、超寒い。ペダルを漕がなくても腹は減る。途中食事できるところは無いかと探すが、どこも閉まっているようだった。人里もまだまだ離れており、少し不安になる。一応バッグの中にはいろいろと非常食はあるが…。
途中道の駅のような看板が見えた。トイレの標識の他に、コーヒーのマーク。やった、食事ができる、助かった!
しかし、中はただのおみやげ屋。コーヒーマークは、本当にコーヒーしか飲めないようだった。あとはアイスクリームも売っていたが、私はそこまでマゾじゃない。
おみやげ用のお菓子でも買って食べようかと本気で考えたが、ここでも我慢。と、ここでiPhoneの電源が消える。え?まだバッテリーは20%以上あったはず…。恐らく寒さで電圧が落ちたのだろう。ポケットに入れたりすると容量が10%以上回復したりするし。普段はハンドルマウントで日光や雨風に晒されているので、夏は暑さで使えなくなるが、冬は寒さで使えなくなるのか。とりあえずエネループで充電しつつ先へ進む。
だいぶ進み、ようやく人里へ。助かった…。
オレンジ色の看板が見え、セイコーマートグランディアでも飲もうと思ったが、すぐに気づいた。ここは北海道ではないと。俺次の看板は全く関係のない看板。そうだ、もうセイコーマートは無いのだ。
ファミリーマートが見え、今度こそ本当に助かったと思った。食べ物を買ってすぐに食べる。時刻は3時。今日は調子が悪いから、もう休みたい。ちょうどここは大湯という温泉街。ホテルや旅館が揃っている。しかし値段は高め。マップルだとユースホステルがあるらしいので、そこを下見に行って見ることにした。が、見当たらない。場所は合っているはずなのに、廃墟しか無い。…ん?廃墟と思ったのがユースホステルだった。これ、本当に営業しているのだろうか?ユースホステルも決して安いわけではないし、別の場所へ向かう。
向かったのはいずみ荘という銭湯。なぜか宿泊できる。本当になぜか。外から見るととてもそういうふうには見えない。お店の人がいい感じの人で、自転車を車庫で保管してくれたり、洗濯機を使わせてもらったりした。温泉付きの宿としては安く、なかなかいい宿を見つけたと思った。
久しぶりの銭湯で汗を流し、さっぱりして部屋でゴロゴロ。再びコンビニで夕食を買いに行く途中、空荷の自転車に乗って異変に気づいた。妙にフロントキャリアがガタガタする。手で触るとすぐに原因が分かる。溶接部分が外れていた。壊れるとは聞いていたMT-3500SFだが、ついに壊れたか…。折れたわけではないので致命傷ではないが、それだけ自転車も疲れているということか。明日にでもタイラップで応急修理しよう。ホームセンターがあれば太目のワイヤーを買って補強してもいい。アルミキャリアだから再溶接はできないだろうしな。
そんなこんなで現在に至る。

ちょっとお疲れモードになってきているので、走るのも観光も少しお休みしたいところです。明日以降は今日でどこまで体力を回復できるかで変わってきます。一応このまま南下し、八幡平を目指す予定です。その後は未定。
でもせっかく温泉地なので、タオル片手にぶらぶらしたいですね。