54日目

二風谷ファミリーランド〜苫小牧某所

どこまでも続く道路。広がる草原。見つめてくる牛。そしてセイコーマート
いろいろあった北海道の、"最後の"移動日。走りながら思い出すのは、そんなことばかり。
辛いことばかりだった。だけど、不思議と嫌ではなかったのかもしれない。

遠いと思った苫小牧。フェリーターミナルは、もう手の届く距離まで近づいていた。

オマケ「アップルマップで苫小牧のコインランドリーを検索すると、アメリカに案内されるぞ!さすがアップルマップ!俺たちにできないことを平然とやってのける!」



「暑い。」


まさか北海道でこの言葉を再び使うことになるとは。


今朝は気持ちよく晴れていた。窓からは暖かい日差しが降り注ぎ、部屋を暖める。
朝6時ぐらいまではぽかぽかして暖かかったが、7時には冒頭の言葉を発するようになる。
窓を開け、涼しい空気を感じる。寒いはずの外気が、今は心地いい。が、荷造りのため自転車の元へ言って前言撤回。いつも通り寒い。
9時頃にチェックアウトし、今日も苫小牧へ向け移動。日差しが気持ちいい。しかし空気は乾燥し、ひんやりしている。
空気を吸うと、肺が痛む。関東へ転勤し、驚いたのが冬の空気の冷たさ。気温ではない、空気の質が違うのだ。寒いというか痛い。息をすると喉が乾き、痛くなる。岐阜に住んでいたときは気にならなかったので、たぶん関東以北はこういう空気なのだろう。この乾いた冷たい空気というのが苦手だ。

そして今日もばっちり向かい風!一ヶ月以上いて追い風だった日が数日しかないってある意味すごいぜ!ということでペースは伸び悩む。
237号線を南下し、うっかり道道59号線に乗り損ねる。マップルだと苫小牧へ行くにはこの道が近道だそうだ。戻ってもいいが、海沿いの道の方が楽そうだし、このまま進むことにした。
が、かなり後悔。海沿いを走る235号線は、とにかく暇だった。海沿いと言っても海が見えるわけではない。右手に自動車道、左手には雑な森。道路は広くないがトラックがかなり通る。景色は変わらず、トラックには怯えないといけない。これが20キロほど続く。とにかく暇である。北海道では屈指の暇な道である。
この辺りからさらに風が強くなる。気象庁で調べると、先ほどまで5メートルだった風も、ここからは7メートル。5メートルでも辛いのに、7メートルはかなり辛い。そして景色は変わらず暇だから、この区間はとても長い時間に思えた。目立ったイベントと言えば、大型トレーラーに煽られて、森に向かってダイビングしかけられたことか。ファッキントラック!久しぶりに死ぬかと思ったぜ!
途中フェリーターミナルが見えてくる。新日本海フェリーシルバーフェリー。そう、ここは港。そして、私の北海道のゴール。フェリーターミナルを見て、ああ、本当にここから脱出できてしまうのだな、と実感する。
苫小牧市街へ近づき、少し町が栄えてくる。小学生にからかわれながらとりあえず市街をぶらぶら。うん、いつも通りの北海道だ。実は今日昼飯を食べてない。定期的にコンビニに寄って、ちょこちょこ食べる戦法をしていたからだ。昼に食事処が無かったのが理由だが、昼にがっつり食べるより、ちょこちょこ食べた方が体の調子はいいのだ。実は私の私生活では、朝飯、昼飯、夕飯という食べ方はせず、腹が減ったら食う、という食べ方をしている。一日何食食べてんだ!?と思うかもしれないが、だいたい朝夕の二食。家にいるときは腹が減らないのである。

ともかく少し休憩しよう。駅前に行けば休めるところがあるかと思ったが、いいところが見あたらない。硬派な喫茶店があり、興味があったがそういう店は入る勇気がない。
悩んだ末、5キロほど移動してマックタイム。ビバマック!学生たちで多いが、もう気にならない。
こんなにマックに行っていて言うのもなんだが、マックに行く人の気が知れない。私生活でマックに行くことはほぼ皆無だ。旅に出る前、最後に行ったのはたぶんアメリカのマック。亀猫の無意味にグローバル生活。今こうやって行くのは、テーブル、トイレ、そして時々電源が使えるから。これらは日常生活では家に帰ったり、喫茶店(主にドトール)を利用するので不必要である。
そしてブログの記事をぱぱっと書いて、「待ち合わせ場所」へ向かう。


待ち合わせ場所で出会ったのは、時々コメントをいただくアルジャーノンさん。アルジャーノンさんとは天塩のライダーハウスで偶然出会ってからの仲で、時折連絡を取り合っていました。住まいがこの辺りと言うことなので、再会することとなりました。
というわけで荷物をおかせてもらい、夜の町へ沈みに行きました。いろいろと話ができて、本当に楽しかったです。最後はアルジャーノンさん宅に泊めていただき、ありがとうございました。頂いた情報は今後活かして行こうと思います!


こうして、北海道最後の夜は更けていくのだった。