34日目

層雲峡オートキャンプ場〜糠平温泉湯元館

走っていると暑いが、止まると寒い。着る物に困る季節だ。
勢いで三国峠を越えたものの、明日以降の行程で迷う。観光するなら北へ。旅を進めるなら東へ。北海道を出るなら南へ行かなければならない。明日はこの選択が求められるわけだ。
北海道は旅シーズンも終わり、旅するには厳しい環境になりつつある。どうしたものやら…。


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昨晩、キャンプ場に自転車のキャンパーがやってきた。見るとクラシックな自転車で、ランドナーだろうか?いや、あれはスポルティーフかな。復刻されたものではなく、数十年前の雰囲気で、かなり乗り込まれていた。てきぱきとテントを建て、すぐにテントにこもってしまった。間違いない、ベテランだ。お話したいが、起こすわけにはいかない。
今朝、起きるとすでにテントは無くなっていた。お話ししたかったな〜。

夜露が降りており、フライシートの結露もすごい。最近はフライシートを乾かす際、自転車にフライシートをかけ、シート広げてペグダウンしている。他の人から見たらテントをもう1張りしているように見えそうだ。
フライシートを乾かしている間、昨日知り合ったおじさんとお話。その人から、餞別から甘いお菓子をいただく。さらに朝食をいくつか分けてもらったりして、本当にありがたい限りです。
おじさんの話によると、今年はきれいな紅葉はお目にかかれないかもしれないそうだ。毎年ここに半月ほどテントを張り、紅葉から初雪まで鑑賞しているとのこと。え?初雪?例年は雪降るの?
テントも乾き、おじさんと別れを告げ出発。少し先にセイコーマートがあるみたいなので、とりあえずそこを目指す。
今日は時折晴れ間がさすが、基本的に曇り。標高が上がるにつれ雲の中に入ったのか、太陽は厚い雲の向こうに消えてしまった。
層雲峡に到着し、セイコーマートへ。この辺のコンビニはセブンイレブンもそうだが、モノトーンで周囲に溶け込んでおり、ぱっと見分からない。
セイコーマートで自転車を止めると、見たことのある自転車が。あ!昨日のスポルティイーフだ!
早速話しかける。60を過ぎたおじいさんで、自転車を担いで登山してきたそうだ。途中道に迷って降りてきて、しょうがなくロープウェイで登ろうとしたら今日は満員で乗れないそうだ。さらっと何かすごいこと言ったぞこの人。
かなり昔から自転車に乗っているそうだ。いろいろと話をする。今日登山の予定がもうできそうにないので、行動食をいただく。感謝!
別れて私はセイコーマートへ。今後糠平まで食事はできないと考え、昼食などを購入。しかし今日は平日だというのに人が多い。周囲のホテルも入り口には「満室」の立て札が。紅葉パワーか…。しかし紅葉はしていないけど。
ここからひたすらヒルクライム。途中の光景は「良くこんなところに道路造ったな!」と変なところに感心しつつ進む。途中途中空を飛んでいるかのような道を渡る。絶景だが、天気が悪い。紅葉していたりしたらこの上ない絶景だろうに。
途中徒歩ダーに遭遇。いや待って、この先歩いていける距離に寝るところあるの!?そこには突っ込まず別れ、先へ進む。
途中までそれなりに交通量があったが、多くが北見へ向かうようで、三国峠方面はまばらになる。途中道路以外は未開拓で、いつ熊と遭遇してもおかしくない風景だ。鹿やキツネは普通におり、実際熊がいてもおかしくはない。
峠は勾配は緩やかだが、距離が長い。標高900ぐらいまではそこまで辛くなかったが、そこから辛い。雨雲に入ったのかあちこちに水滴がつく。風が冷たい。足も疲れてくる。いっこうに終わりが見えない。途中の三国トンネル前で買っていた羊羹で当分補給。いろいろ行動食を試したが、日本人は羊羹だろう。
夏は涼がとれたトンネルも、この時期は寒すぎる。幸運なのはこの辺りののトンネルはしっかりと歩道があること。トンネル内も安心して走ることができる。三国トンネルを抜けると、パーキングエリアが見えた。トイレがあればいいなと思ったが、喫茶店が併設されていた。ちょうどいい、休憩しよう。自転車に鍵をかけていると、レーサージャージを来たおじいさんと目があった。聞くと、これから峠を降りたり登ったりして遊ぶそうだ。年は60を越えているらしい。この辺のおじいさんは怪物か!?
茶店は本格的で、いろいろな豆が選べた。コーヒーに詳しくないので間違いのないブレンドコーヒーを頼む。少々値は張るが、美味なり。やっぱりコーヒーはいいな。荷物整理してバッグに余裕ができたし、コーヒーセット積もうかな?
時刻は午後2時。今日は70キロ走る予定が、まだ35キロ。このペースだと厳しいが、これからダウンヒルだし、距離が稼げるだろう。
コーヒーで体温めてから行こうと思ったが、喫茶店でご老人方と話していたらすっかり冷えてしまった。
服を一枚増やし、ダウンヒル開始!降り初めてすぐにフルブレーキング!何この絶景!すごい!樹海の上を道路が走ってる!天気が悪いのが残念だが、これはすごい!心の底から「どうやって作ったの!?」と相変わらず見当違いの感動をするのであった。
しばしの絶景の後はずっと単調な下り。ダウンヒルも速度を出して一気に下れば面白いが、まず速度を出したら寒い。次に道路がガタガタで速度を出すと危ない。うん、楽しくない。
ある程度下ると、左側の森の景色に違和感を感じ始める。なんだろう?なんか不自然だ。見ると、かなり風化しているが線路が引いてある。それからも古い橋があったりと、調べると旧国鉄の線路らしい。廃線ってなんか趣があって好きだ。でも見に行こうにもここは熊が出そうだから素通りが一番。
時折すれ違うライダーと挨拶をしつつ走るが、あれ?今のバイク見覚えない?するとバイクもUターンしてやってきた。やっぱり、以前ライダーハウスで出会ったライダーだ。偶然の出会いにしばし話し込む。糠平温泉まであと少しと言う情報をもらい、先へ進む。
分かれ道を曲がってすぐに、今日の宿泊予定地の湯元館があった。あまりにすぐすぎて通り過ぎるところだった。入り口の前にバイクが泊まっており、今日泊まるそうだ。しかし体調が悪いので素泊まりの大広間ではなく、部屋を借りるとのこと。ここは素泊まり1500円で温泉に入れるというのはなかなか安い。食事は近くのレストランに予約するシステムで、予約後指定の時間に行くと料理ができあがった状態で待っているらしい。とりあえず予約。
その後荷物を大広間へ運ぶ。まだ私一人らしい。シーズンオフだし、もしかすると私一人なのかな?それはそれで寂しい。
荷物を置いたところで温泉で暖まり、部屋に戻る。まだ誰も来ない。…静かだ。物音すらしない。う〜ん、居心地が悪い!誰か泊まりに来て!大広間に一人ってすごい不気味…。
そうするとついに大広間の扉が開かれた!ついに二人目か!?と思ったら、入り口で会ったライダーだった。食事の時間が早まったので、知らせるついでに誘ってくれたのだ。というわけで二人でレストランへ。
レストランは二人で貸し切り状態。頼んだのは二人とも「鹿丼」。"鹿"です。当たり前のように鹿丼があったので選びました。どんぶりのほかに、味噌汁や漬け物などなどもついて意外とボリュームがあった。彼は明日帰る予定だったが、台風の影響でフェリーが欠航になったそうだ。どうしようか迷っていたが、残念ながら力になれない。私も台風が直撃となると、その期間の行動は考えておかないと。
食事を終え、再び一人だけの大広間。広い部屋って、不安になる…。時刻は7時。キャンプ場なら寝る時間だが、せっかく電源が確保できるし何かしたい。ネットが繋がればパソコンで画像アップしたりもしたいが、ワイマックスは今日も使えない。やっぱり旭川にいるときにau回線使える奴にすれば良かったか…。

そういえばこの話を以前ライダーに話したら、iPhone5買えばいいじゃんと言われた。なるほど、たしかiPhone5テザリングに対応したんだった。ていうかテザリングできるならiPhone4sも対応しろよと突っ込みたい。ちなみに私のiPhone4sはまだOSアップデートしていません。旅していると純正のマップアプリを多用するが、そのマップが不評なので、迂闊にアップデートできないのだ。

さて、やることがない。よし、寝よう。旅していると寝るのが早くて健康的だ。


明日以降ですが、ルートはかなり迷っています。当初このまま東に抜け、一気に根室に向かう予定でした。が、途中摩周湖などに寄ることを考えると、一旦北上したほうがいい。それだとせっかく三国峠を南下したが、北見の辺りまで北上する必要がある。無職なので時間に余裕があるが、ぶっちゃけ今の季節の北海道に長居したくない。だが、せっかく来たのに素通り、というのもどうかと思う。ただ走りに来たわけではないが、かといって走れる内には帰らないと行けない。

北上するとなると、明日の目的地は道の駅「あいおい」。ここは電車を改装したものに無料で宿泊できるらしい。
東に抜けるとなると、オンネトー国設野営場。東にある阿寒湖畔キャンプ場は今月末に閉鎖だそうなので、閉鎖している可能性が高い。ここは10月一杯までやっているそうなので、泊まれるはず。

観光もしたいが、季節もある。キャンプ場もライダーハウスも閉鎖し、寒さも厳しくなっていく。そして納沙布岬に着いても、帰るには近くても苫小牧までは走らないといけない。
面倒くさい季節に来てしまったものだ。