23日目

鏡沼海浜公園ライダーハウス〜北防波堤ドーム

曇り空のオトンルイ風力発電所
あの防波堤ドームにいます。ここで寝ると「北海道旅してる」感が出ますね。天候悪すぎてここに逃げてきただけですけど。
天候は最悪です。止まない雨はないといいますが、いつになったら晴れるのだろうか…。

起床後も昨日飲んだ人たちと話していて、ずいぶんと出発が遅くなる。とはいっても、今日は稚内まで行けばいいので、急ぐ必要もないか。
別れた後、セイコーマートで朝食と昼食を購入。この先のオロロンラインはいっさいの建物がない。その距離60キロ。途中で昼を迎えるだろうし、ハンガーノック対策にも多めに購入。その際ついにセイコーマートのカードを作成。すっかり北海道での心のオナシスである。
そして出発。今日は朝からどんよりとした雲。時間とともに天気が悪くなるようだ。相変わらずの向かい風を受けながら北へ向かう。
オトンルイ風力発電所が見える。遠くから分かるそのいい意味での異様な光景。だんだんと大きくなってみえるそれを見ながら、テンション上げながらふもとまでたどり着く。
とても巨大なプロペラが回っていた。近くで見ても異様だ。しかし観光地でないのでしょうがないが、あまり周囲は整備されていないのでなんとも見窄らしい。写真を撮ろうにも送電線が邪魔だし、遠くで初めて見えたときほどの感動はなかった。なにより天候が悪い。
それからのオロロンラインは暇であった。なぜなら、なにも無いからだ。ただ淡々と、黙々と、ペダルを漕ぐ。進んでいるのかどうかよく分からないほど変わらない光景。天気が良ければ気持ちいいのかもしれないが、曇りで向かい風。ローラー台を回しているような感覚だ。
稚内まで何もないと思っていたが、20キロほど進んだところでトイレがあった。これから行こうと思う人はトイレの心配はしなくていい。トイレはあります。
この後ぐらいから天気がさらに悪くなり、ついに雨が降り始める。まだ小雨なのでレインウェアは着ない。ところで何キロぐらい進んだろうか?出発から何時間経った?こういう感覚がだんだんと麻痺し始める。
途中で12時を迎える。ちょうどパーキングスペースがあったので、そこで自転車を止め、昼食タイム。パンを頬張っていると、ライダーさんが来たので少しおしゃべり。その際食べかけのパンを横に置いたら、一瞬の隙をつきカラスが持って行った。パンは犠牲になったのだった。
その後雨風はさらに強くなり、寒くなる。さすがにレインウェアを着て、稚内を目指す。途中で昨日ライダーハウスで会ったチャリダーが追いついてきて、少しすると休憩所があったのでそこで休憩。
休憩所は意外としっかりとした施設で、トイレはもちろんイスとテーブル、炊事場まで完備されていた。
そこで昨日更新できなかったブログの記事を書き、再び北上開始。その後は少しすると集落が見え始め、町が近づいてきたのが分かる。
そして分かれ道。このまま北上してノシャップ岬を目指すか、それとも稚内市街へ出るか。今日は稚内のキャンプ場で泊まる予定だし、先にキャンプ場で荷物を置いてこようと思い、稚内へ。ちょっとしたヒルクライムを終え、稚内市街へ到着。時刻は2時。パンはカラスに持って行かれたし、お腹が空いた。道の駅で何か食べよう。
しかし、道の駅が見あたらない。地図上では「わっかない」という道の駅があるはずで、看板にも「ここが道の駅だよ」と書いてあるが、建物が見あたらない。とりあえずJRの駅でトイレを借りようと思って真相を知った。JRの駅に申し訳程度にあった「道の駅」の文字。そう、ここが道の駅だったのだ。だが言わせてもらうと、これは道の駅じゃない。ただの駅だ。
稚内駅で食事をすませ、近くの防波堤ドームへ。これが防波堤ドームか!思ったより大きい!どうしよう?雨がしのげるし、ここにテント張ってもいいかも。なんかここでキャンプしたら「北海道通」っぽいし。まだ3時ぐらいで誰もテントを張っていない。今テントを張ってもペグが打てないし、防犯面も心配なので放置できない。テントを持ったまま動くことに。とりあえず近くにベスト電器があるので寄ってみることに。いやしかし、稚内ってもうちょっと栄えているかと思ったが、田舎だった。福岡の田舎の人間が言うのだから間違いない。電気店もびっくりするほど小さく、ショッピングを楽しむことはできなかった。とりあえずラジオ用に片耳イヤホンは購入。後にテストしたところ、ダイソーのものとは雲泥の差。価格は300円だったが、音質を考えるとダイソーの方がコストパフォーマンスが悪いという結果に。ちなみに昨日のブログで書き忘れたが、壊れたイヤホンの代わりに使っていたカナル式イヤホンは、途中でイヤーピースが行方不明になり使用できない状況。というかなぜ虎の子のカナル式を使ったのだ。付属の安っぽい奴使っとけば良かったのに!
その後雨は強くなる中、ノシャップ岬へ。かなり雨が強く、来たはいいが写真もほとんどとれない。イルカの像に挨拶してすぐに退散。汗と雨で体が気持ち悪い。ちょうど日本最北端の童夢温泉があるし、風呂に入るにはいろいろと口実が揃った。
というわけで南下。これだったら稚内行かずまっすぐ行った方が効率よかった気もする。
童夢温泉かなりドロッとした温泉。露天風呂から海が一望できるそうだが、この天気じゃどうしようもない。しかし私は露天風呂が大好き。寒空の元、露天風呂で半身浴するのは至高の一時。が、今日はちょっと雨が強く、長時間はできなかった。
風呂上がり。コーヒー牛乳を探すが見つからない。あるのはフルーツ牛乳。なにこの邪道な一択。仕方なく買って失敗。やっぱりコーヒー牛乳が一番だ。
その後設置してあるイスで涼む。外を見ると天気が良くなる様子はなく、むしろ風は強くなっているようにも見える。時刻は5時。今日はどこで寝よう。選択肢は北防波堤ドームか森林公園キャンプ場。しかしこうも天気が悪いとライダーハウスでもいいかもしれない。とりあえず外に出て考えよう。
外に出て、その寒さに体が縮こまった。ちょっと待って、まだ9月だよ?なにこの寒さ?道民の人たちは普通の顔をしているが、これは寒い。走り出して風も雨も予想以上に強かった。

無理、ホテルに泊まろう。

と、ちょっと前の私なら考えただろうが、成長しました。根性で北防波堤ドームへ向かう。しかし雨風で視界が悪いというのに、さらに5時だというのに暗い。風で自転車が煽られ、雨は痛いほど体を打つ。車から容赦なく水を浴びせられ、視界は最悪。今回の旅でトップクラスに辛い道中だった。
北防波堤ドームに着き、テントを広げる。ある程度風が遮られていると言っても、風はある。濡れたバッグを重石代わりにしてテントを安定させ、なんとか眠れる状況になる。今日も疲れた。
ああそうだ、夕飯はどうしよう。外の雨は相変わらず強い。何気なく買っていたパンを食べる。足りないが、我慢しよう。
少し横になって、ブログ更新してないことを思い出す。その前にトイレに行きたい。ここはキャンプ場ではないのでトイレはない。外の天気は決して出歩く天気ではない。だが、人間の生理現象を抑えることは出来ない。レインウェアを来て最寄りのトイレへ。でも最寄りって?目に見えるのは稚内駅。あそこまで行こう。片道5分だが、つく頃にはびしょびしょだった。手ぶらで帰るのも勿体ないので、駅のコンビニでお菓子を買って帰る。なにげに今回初めて買ったお菓子だった。なんとなくやるせない気持ちだったのだ。
帰りもびしょびしょになってテントへ帰ってくる。風で少しテントが動いていたが、特に問題はない。

北海道に来て、なかなか天候に恵まれない。本当は気持ちよく走れたであろうオロロンラインの思い出は、雨と風だけだ。それはそれで笑い話になっていいのだが、一つぐらい楽しいことがあってもいいのではないだろうか。もちろんライダーハウスでみんなと飲むのは楽しいけど、それはそれ。
明日は宗谷岬宗谷岬は北海道の、というよりは日本一周の大きな目的地の一つだ。でも、その次は決めていない。はっきり言おう、北海道を脱出したい。天候に恵まれないこともあるが、寒くて寒くて仕方ないのだ。

しかし、今更歩みを止めるつもりはない。明日は明日の風が吹く。きっと明日はいいことがあるはず。

というわけで、とりあえず明日は宗谷岬到達後、さるふつ公園キャンプ場、調子が良ければクッチャロ湖を目指します。