17日目

神楽岡公少年キャンプ村〜ライダーハウス「蜂の宿」

今日も雨。これ以上テントにいたら気がおかしくなるので、キャンプ場から脱出しました。ついに美瑛入りですが、その道は険しく、大変なものでした。
けど、最後ははじめてのライダーハウスで癒されたので、これならもっと早くくれば良かったと後悔。
でも、おかげでいろいろと勉強できたのは良かったです。



ポツポツと雨がテントに当たる音が聞こえる。やっぱり雨だった。
時刻は朝5時。昨日寝過ぎたためにもう眠れない。これがホテルのようなふかふかのベッドなら眠れる自信があるが、薄い銀マットの上だとそうはいかないのだ。
寝袋の上に仰向けになり、ぼんやりと上を見る。見えるのはテントの緑色の天井だけ。エアマットって寝心地いいのかな?とか考える。
外にでるには雨足は少し強め。それに、出たとしてもお店は開いていないのだ。

旅にでる前から思っていたが、お店の開店時間が遅すぎる。前の仕事も朝6時には仕事が始まっていた。いろいろと事情があるだろうが、6時開店とまではいかないが、せめて8時ぐらいには開店してもいいのではないか?と思うのだ。特にこうやって時間を持て余しているときは特に思うのだ。
テントの中でごろごろする。かなり時間を潰せた!と思って時計を見ると、時刻は7時。どうしようか?
雨は相変わらず強い。電力の供給が絶たれ3日目。電力は本格的に怪しくなってくる。晴れてくれればiPhoneは2、3時間でフル充電できるのだが、雨が降っては太陽は雲の向こうだ。今はモバイルバッテリーが生命線。それだけで3日持っているのだから、がんばってくれている。が、さすがにそろそろ底をつくだろう。残る電力はエネループ、そしてパソコンからの給電。この辺は最後の切り札としてとっておきたい。
そんなわけでiPhoneでネットを楽しむことはできない。電力を使わないツーリングマップルを開いて時間をつぶすが、開いたところで新しい道が見つかるわけでも、天気が晴れるわけでもない。
そんなとき、気まぐれで持ってきたipod(5.5G)が意外な活躍を見せる。朝のラジオはあまり楽しいものではないため、お気に入りの音楽を聞くためだ。同様にポメラもまず電池が尽きることはないので、暇つぶしにはもってこいだ。いろいろな機能が満載な電子機器が流行る中、単一の機能しか持たない機器が活躍する。不思議なものだ。
それにしてもテントの中が臭い。何臭いと言えば雨臭い。濡れたものがテントの中で生乾きなのだろう。そろそろ服の洗濯もしたい。2、3日同じ服を着ることに抵抗は無くなってきたが、着ていて気持ちのいいものではない。どうせ今日も動けないならコインランドリーでも行こうかととも考える。誰もいないキャンプ場なら堂々と炊事場で洗うのだが、ここは家族連れの憩いの場。男のパンツを堂々と洗うのは気が引けるのだ。猛者たちは堂々とロープを張って干していたが、私はテントの中に干すのがいっぱいいっぱいである。
それにしてもジメジメしている。実際テントの底が濡れているのだから仕方ない。先日までグラウンドシートなんていらないと思っていたが、前言撤回。必須だ。ムーンライトテント純正のグラウンドシートは持っていたが、軽量化のため実家で待機している。快適なテント生活のためにも、なんらかのシートは必要だろう。旅して分かる、必要なものとそうでないもの。一度実家に戻って体制を立て直したい!
それからひたすらゴロゴロして10時。そろそろお店も開く頃だろう。ちょうど雨も止んできた。自転車にまたがり近くを散策する。近くにマックが見え「もしかすると電源確保できるかも」と僅かな期待を抱いて入店。が、コンセントはあっても席から離れており、堂々と使うにはかなりの度胸が必要。基本的にチキンな私に使うことはできなかった。
朝食兼昼食を食べ、午後の予定を考える。今は丁度雨が止んでいる。テントは濡れたままだが、撤収して出発しようか?明日が晴れるとは限らない。濡れたテントを撤収するのはイヤだが、このままここで人生を終えるわけには行かない。ラジオは午後から天気は下り坂と言っている。
今テントを張っている場所は水はけが悪く、日に日にぬかるんできている。どのみち移設する予定だったし、丁度いいかもしれない。
思い立ったら即行動!としたかった、うっかり買ってしまったホットコーヒーMが予想以上に大きく、処理に困る。
というわけでチャリカメ成長記向けの記事を一本書き、なんだかんだで一時間以上過ごす。さて行くか!その前にトイレ。鏡を見ると、だいぶ髭が伸びていた。北海道に入ってから一度も髭を剃っていない。髭を剃っていない理由は、会う人会う人から「学生さん?」と言われるから、ちょっと大人っぽくしようと思ったからだ。根本的解決に至らず、ただ「不潔」なだけじゃないかと気付き始める。こうして人は大人になっていくのだな、と、26歳の私は思うのであった。

12時頃テントに戻り、撤収作業。炊事場にテントを移動し、乾燥に挑む。フライは結構簡単で、バタバタして水気を払えばだいたいオッケー。問題はテントの底面。もうぐちょぐちょ。テントを立てて、しばらく放置。
その間、公園内をカメラ片手にぶらぶらする。この際衝撃の事実が判明し、カメラが水没していた。防滴のカメラとフルマニュアルレンズなので壊れることはないが、全体的に曇っている。レンズの内部が結露というか水気が入り、撮影はちょっと無理。雨に直接打たれたわけではないが、湿度が高い状態で放置したための事態。誰か!防湿庫を貸して下さい!
ぶらぶらと一時間。帰ってきてもテントは乾かない。しばらく乾くように努力するが、日照りもなしに乾かすのは大変だ。3時になり切り上げ、湿ったテントのまま撤収。ブルーシートは必要だと勉強する。
撤収後、ついに美瑛に向け前進を始める。だが、時を同じくして雨が降り出すのだ。こうなれば行くしかない!
だが、雨足は強くなるばかり。だんだんと視界が悪くなる。地平線が見えそうな北海道の道路も、このときばかりは雲に隠れて先が見えない。その後さらに雨足は強くなり、走っていると言うよりは泳いでいる感じになってくる。状況は最悪だ。汗でレインウェアの中はびしょびしょだが、外もびしょびしょ。走っていてわけがわからない。ただガムシャラにペダルを回した。
途中から、雨でレインウェアの中の汗が冷え始め、急速に寒くなる。風邪を引いてもおかしくはない。ただ、美瑛を目指し走る。美瑛に着くまで、本当に無我夢中だったのだ。
何時間走ったろうか?実際は1時間に満たなかったはずだ。ついに目的地、ライダーハウス蜂の宿に到着した。はじめてのライダーハウス。良く分からないまま、先住民(あえてこう呼びます)に教えられ、ベッドが割り当てられた。はじめてのライダーハウス。どうしたらいいか分からないまま、座敷に座る。すでにグループができあがっているライダーハウス。なんとか会話に加わろうとするが、なかなか難しい。とりあえず寒い。着替えたものの、芯まで冷えている。温泉の場所を教えてもらい、ひとっ走りする。温泉の場所が分からず右往左往。というのも、このときモバイルバッテリーが尽き、iPhoneの残りバッテリーは10パーセントを切っていた。マップを開くと秒殺だろう。迂闊に使えない。
なんとか発見し、久しぶりの風呂を満喫する。しかしそこまで長居せず温泉を後にする。なぜなら、自転車の鍵を忘れて、無防備な状態だったからだ。
ライダーハウスに戻り、併設の居酒屋で夕食。それから11時まで、ライダーハウスの人たちと飲んでいた。ライダーハウスに来た当初は「とんでもないところに飛び込んでしまった!」と後悔したが、飲み終わる頃には「ライダーハウスって、いいね!」という風に心変わりしていた。まだ完全に打ち解けられていないが、なんとなく良さが分かった。
いろいろと書きたいことはあるが、みんなが寝静まっている横でポメラを打つのも気が引けるので、とりあえず今日はこんな感じで失礼します。
たぶん明日も天気が悪いので、ここで骨を休める予定です。