十日目

素浜キャンプ場〜入崎キャンプ場

走行時間 4時間25分59秒
走行距離 67.96km
平均速度 15.3km/h
最高速度 45.6km/h

佐渡島3日目。今日は雨でした。銀輪放浪記始まって以来初となる、本格的な雨の中の走行でした。
佐渡島は大荒れで、キャンプ場も大荒れ。風でテントが吹き飛びそう(ペグは飛んだ)な天気の中更新です。
屋根と壁と床(と電気と水)が有る場所で寝たいです…。
5時半起床。しとしとと雨の降る音がする。雨か〜…。もしかするともう少しすれば止むかも?と僅かな期待を持って二度寝。すると6時半頃雨が弱まり、次第に止んでいった。この機を逃すわけには行かない!テントの水気を可能な限り飛ばし、撤収。晴れ間のうちに進めるだけ進もうと思っていたら、散歩中のおじいさんに声をかけられる。出身は福岡というと、地震で大変だったろう?と言われる。それは福島だ、おじいさん。いろいろと話を聞かされ、急いでいるので私のほうから話を切り上げる。出発は7時半。別れた後、おじいさんが歌い出した唄が、どこか悲しげだった。悪いことしたかな…。
昨日一度通った道を進む。今日は道を間違えず国道へ。が、ここでまた登場激坂。体が重い!佐渡島に入ってヒルクライムばかりで体力が持たない。さすがサド!
なんとか登り切り、国道へ。車の量が一気に増える。といってもまばらだが。そして久しぶりの登場自動販売機。朝コーラで気分も爽快だ。

しばらくのダウンヒルの後、目の前に再び長い坂。進むしかない。長期戦になるかもしれないので、飲み物を買っておこう。商店の前にたくさん自動販売機があったので、どれを買うか迷う。贅沢だ。迷っていると商店のおばさんと会ったので、会話を交わす。この先の坂はそうでもないよ、とのこと。そうなのか、じゃあ気軽にいこう!
しかし、何を持って「そうでもない」と言ったのか。普通にしんどいのだ。
空が急速に暗くなり、風が出てくる。そして、降り出す雨。今日はすでにフロントバッグにはレインカバー装着済み。あとは自分にレインウェアを着せるだけだ。木陰に入り、レインウェアを着る。またサウナの中走るのか…、と、気分が重くなる…。
雨が弱まり、レインウェアは上だけ着て出発。雨が弱いうちに先へ進む。途中窪田キャンプ場を通過する。通過しただけなので詳細はわからないが、まだ営業中だった。テントも少し張ってあって、自動販売機もあり。こっちに泊まるのが正解だったようだ。といっても、ここまで25キロ。昨日の体力でここまで来るのは困難だっただろう。
その後、再び降り始める。下は履いていないが、さっきぐらいの雨なら履かない方がいいだろう。と思っていたが、今度の雨は違う。大粒の雨だ。こりゃダメだ!慌ててどこかで雨宿りを考え、運良く屋根付きのバス停が見え、自転車ごと侵入。雨が落ち着くまで待とう。

ふと、ある考えが思いついた。もう少し行くと分かれ道になる。一つは北へ向かう道。もう一つは東へ向かう道。東へ向かえばすぐに両津港だ。今日には新潟に戻れる。しかし北へ行けば、また長い坂だ。体力は残っていないし、びしょぬれで寒い。もう疲れた。そんなとき、下のレインウェアを用意しようとしてあるものに気づいた。昨日雨宿りさせてもらった家の方からもらった餞別だ。そうだ。あのときバッグに入れるとき、食料用のバッグではなく、レインウェアと同じバッグにとりあえず突っ込んだんだった。改めて見て、いろいろなものが入っていることに気づく。高そうな洋菓子も入っていた。それを一つかじり、その甘さに癒される。


よし、もう少し頑張ろう。


雨が小降りになってきた。全身レインウェアで身に包み、雨の中を走る。ひんやりとする空気。火照った体も冷えていき、むしろ寒いぐらいだ。
しかし濡れた路面は危険だ。私の自転車のタイヤは溝が無い。そのせいか分からないが、今日何度かグリップを失った。かなりヒヤっとしました。雨も気づくと止んでいた。
少し栄えている町に到着。なんとコンビニがあるのだ。コンビニがあることに驚いたことに驚く。
そろそろ昼食時。何か無いかとぶらぶらしていると、温泉施設があった。「ワイドブルーあいかわ」というところで、600円なり。久しぶりの温泉。三日ぶりの風呂だ!溜まった汗と垢を洗い流し、体は爽快。風呂上がりにコーヒー牛乳を一気飲みし、気分も壮快。風呂上がりの休憩所は居心地がよく、ポメラかパソコンを持ってくれば良かったと公開。長居しても仕方ないので、早々に出発。
結局食堂が見つからなかったので、昼食はコンビニ。腹が膨れたところで、今日の目的地、入崎キャンプ場を目指す。事前情報で、このキャンプ場は8月で閉まっているそうだ。水さえあればどうにもでなるが、そろそろ屋根と壁と床のある場所で寝たいのよね。あと、今夜はかなり荒れるらしい。が、調べるとこの先にあるのは観光用のホテルで、かなり高価。民宿もいいのだが、調べていると「もうキャンプ場でいいよ」という結論に至る。銀輪放浪記初期には考えられない思考の変化である。が、これが後々後悔することとなる。
特に目立ったこともなくあっさり入崎キャンプ場に到着。案の定営業していなかった。一応電話するが、電話に出ない。もちろんキャンプ場の水も出ない。しかし公衆トイレで水は汲めるので、ここに泊まることとする。時刻は午後3時。

まだ早いが、今夜は荒れるので早めにテントを張ることにする。誰もないので、屋根のある炊事場の中にテントを張らせてもらう。風が強くなりそうなのでしっかりとペグを打つ。そう、しっかりと打った。一部地面に石があるらしくペグが打てなかったので、大きな石を置いてテントを張る。
雨雲が急速に広がりだしているのが見え、早めにテントに戻る。

飯にはまだ早いので、とりあえずコーヒーを沸かしてコーヒーブレーク。
ちょっと早いがブログを書こうと思い、4時頃からポメラを開く。まったりと記事を書いていると、突然サイレンが!なんだ!警報か!いや、デジャブだ!午後5時のサイレンだった。
ビックリさせやがって…と思った矢先、風向きが変わった。次の瞬間突風が吹き、テントがひっくり返りそうになる。雨が一気に強くなり、屋根の下なのに横風でテントに雨がかかる。ラジオをつけていたが、聞こえなくなるほどの土砂降り!テントはもろに横風を受け、ポールがしなる。雨に濡れながらテントを確認すると、しっかり打ったはずのペグが抜けていた。すごい風である。ムーンライトテントは足の方から風を受けているとまず大丈夫だが、たぶん横風には弱い。今から全部のペグを抜いて向きを変えるか悩む。とりあえずペグを打ち直し、テントの四隅にサイドバッグを重石代わりに置き、とりあえず大丈夫そうなのでこのまま。心臓はバクバクである。
ここまで書いて午後5時半。そろそろ腹も減ってくる。しかし水はあっても水場は使えない。

食器を洗う手間は少なくしたい。というわけでレトルト釜飯。これだけでは寂しいので、餞別でもらった缶詰の煮豆と味噌汁を追加。おお、豪華!

しかしテントの外は大荒れ。屋根の下なら雨はしのげても、たぶん風が強すぎて火がつかない。ウィンドシールドも吹っ飛ぶだろう。なので、テントの前室で調理開始。あまり前室での調理は好きではない。テント燃えそうだし、調理中テントの入り口を開けておくので、虫が入ってくるからだ。細心の注意の元調理開始。食事はうまくいったが、蠅の侵入を許す。
食事が終わると6時。だいぶ暗くなってきた。ランタンの電源を入れ、テントに吊す。風でテントが揺れ、ランタンの光も揺れる。雨の音と風の音がラジオを声をかき消し、海からは荒波の音。


…不安だ。起きていても不安なので、寝よう。

というわけで、今日はここまで。両津港まであと50キロ。たぶん明日には新潟に帰れると思います。フェリーは予約してないけど、自転車なのでたぶん大丈夫でしょう。
明後日以降は北海道入りを予定していますが、どうなることやら。