明日の相棒を求め2

お金もある。時間もある。けど、無限ではない。
日本一周できる用意はしたものの、現実はそう簡単ではない。
勢いで行って本当に楽しめるのか?私にふさわしい相棒って?
今日もクーラーの効いた部屋で悩むのであった。
昨日ABC案を出したが、とりあえずA案のMTBを使うとしても、どれがいいのか。やはり実物を見ないことには話は進まない。
昨日できなかった手続きを役所で済ませ、その足で最寄りに自転車屋へ。最寄りといっても20キロ以上離れているが、毎日100キロ近く走ってきたおかげでかなり近く感じてしまう。
その途中、リアキャリアにサイドバッグを付けたサイクリストに出会った。早速話しかけてみると、学生さんで山口から筑豊まで走っているそうだ。そんな話しをしていると目的地に到着。名残惜しいが別れ、私は自転車屋へ。
入った瞬間違和感を感じた。この店は地方では最大の自転車屋で、非常にパーツの揃いが良く、さらにマニアックなパーツも揃いもよく、遠出するに足る店だった。しかし久しぶりに来てみると、店内のほとんどのスペースにクロスバイクが並び、申し訳程度にパーツ置かれていた。自転車ブームの悪い影響か。
何台か展示されていたMTBを見てみたが、やはり今時はディスクブレーキに29er。Vブレーキの26in車はほとんど無かった。あってもエントリーモデルで、これなら実家にあるボロいMTBの方がいいのかもしれない。
目立った収穫もなく帰路へつく。が、途中工事中で迂回する必要があった。指定されている迂回路は道が狭く交通量が多いので、少し遠回りになるが別のルートで帰ることにした。交通量も少なく道も広い抜け道は正解だった。が、なんとここも工事中。仕方なくまた別のルートを通るが、あまり通る道ではないので合っているかは微妙だった。案の定曲がり角を間違え、気が付けばヒルクライムが始まった。
怒涛のつづら折り!連続ヘアピンカーブ!荷物を積んだ軽トラックは登るのにギリギリの勾配。エンジンが雄叫びを上げ、エギゾーストから黒煙が吹き上げる!そんな登り坂。
戻って正しいルートに戻るのがいいのだろうが、私は過去を振り返らないので前へ進みます。なんといっても今は軽装である!数多の坂をフル装備で乗り越えてきたのだ!こんな坂など敵ではない…なんてことはなかったぜ!超えても超えても坂。やばいぞ、今日は水も食料も持ってきていない。なんとか登り切ったが、せっかく回復しかけた体力をがっつり消費してしまった。
なんだかんだで50キロ以上走ることになってしまった、そんな一日。



閑話休題。そんなこんなで店頭ではいいMTBと巡りあう事はできなかった。いっそ通販という禁断の手を使うか?とも思うのだ。A案もなかなかうまく行かないものだ。
そして、折りたたみ自転車のC案がこっそり現実味を帯びてきた。ブロンプトンはギアが三段しかなく、やはり超長距離にはきついと思う。なら、新たに折りたたみ自転車を買えばいいじゃない。走行性能ならBD-1やtikitが上だし、そっちはパンク修理も楽である。しかしなかなかいい値段するのが問題。なにより、公共交通機関の利用は楽になるが、走行性能はこれまでに比べかなり落ちる。公共交通機関をうまく使えば旅はかなり楽できるが、うまく使えるかは謎である。
禁断のB案。自転車旅を捨て、バイク旅に鞍替えする案だが、結構本気で迷ってます。今日のヒルクライムにせよ、趣味で登る分には楽しかったが、これがフル装備で旅となると、泣きそうになるほど辛いのだ。
中型自動二輪免許なんて死ぬまで取らないと思っていたが、こうして迷うことになるとは…。人生わからないものである。

バイクを本気で検討し始めた理由が、世間体です。自転車で走るとなると、お金も時間も莫大に必要となる。そのため在職中せっせと貯金し、仕事を辞めて自由な時間を得ることができた。これで心置きなく自転車旅ができる!と思ったもの、いざ「無職」という肩書きを持った瞬間、気になりだす世間体。貯金も余裕があるといっても、無限ではない。飲まず食わずでも毎月税金などで減っていく。無職の期間が長ければそれだけ再就職に不利となる。ゆっくり日本を旅したいが、急に現実を目の当たりにして「とっとと終わりたい」気持ちが沸き上がってきたのだ。でも行きたい場所はたくさんある。できることなら気に入った場所には何日か留まりたい。いろいろな気持ちが交錯する。美味しいとこだけ味わうなら、バイクが一番適しているのかも?と思ったのだ。
でも、自転車ならいろんな人と触れあえ、それが楽しい。それに松山港でフェリーに乗船待ちするたくさんのバイクに囲まれたとき、やはり自分にはバイクは大きすぎて、自分にはこれが一番だとも思った。


小さな旅を経験し、知ってしまった利点と欠点。自転車だから出会えた出会い。自転車だから泣くほど辛かったこと。二度も三度もできないであろう今回の挑戦。本気で楽しめる選択とは何か?


明日は、さらに活動範囲を広げ、いろいろな店で情報を収集してきます。