神福11日目 広島県大浜崎キャンプ場〜愛媛県今治市ホテル


しまなみ海道突入!はっきり言って自転車天国。ここまで自転車優遇してもらうとかえって心配になるほど。
ここ走っていると、昨日まで走っていた「国道」は「国道(笑)」としか思えなくなってくる。もうあんなクソみたいな道走りたくもない。
しかし今日走っていて唯一難点を上げるとすれば、自転車が重すぎる。是非次回があれば身軽な状態で走りたいと思います。というか、小倉松山間のフェリーがあるから、実家からすぐに行けると書いてて今気づきました。

テントの中は寝付きが悪い。暑いし落ち着かないし、快眠できる要素がない。昨夜も暑さのあまり(隣に親子連れが寝ているのに)半裸になりました。外の様子が気になって眠れないのも、音楽聞きながら寝ることにしました。
しかし4回目の野宿となるとさすがに寝付くのも早くなってきた。今までは0時を回っても目はギンギンだったが、昨日は10時過ぎには寝ることができた。が、0時過ぎ、突然目が覚める。聞いていた音楽が、タイマーで停止したのと同時である。外の物音が繊細に聞こえてくる。再びやってきた恐怖。
大丈夫、ここはキャンプ場。何も恐れることはない。そう、外にいるのは無害な虫だけ。虫だけ…。いや、なんか虫以外の物音するぞ。明らかに虫より大きな生き物が歩いてるぞ。と、再び見えない敵と戦いを始めようとしたが、まあ考えても埒が明かないので、再び音楽を再生して就寝。だんだん神経図太くなってきました。
朝6時頃起床。野宿で6時以降に起きるのは初めてだ。なんとなくぐっすり眠れた気がする。テントを干している間に朝食の用意。今朝はパスタを食べる。山の香りがスパイスになり、こんなパスタでも美味しい…というわけはなく、相変わらず寂しさばかり感じてしまう。
親子は先にキャンプ場を離れ、私は8時まで管理人が来るのを待つ。
今日は念願の「しまなみ海道」だ。キャンプ場のベンチに座り、瀬戸内海を眺める。出発から10日が過ぎ、気がつくとこんな場所にいる。だんだんとこんな馬鹿げた生活が普通になっていた。この生活にだんだんと楽しみを感じ始めている自分がいる。それはいいことなのか、悪いことなのか…。

予定通り8時に管理人が来たので、事情を説明して料金を払い、出発。ちなみに500円でした。
昨日少し走ったしまなみ海道。昨日は夕方だったが、今日は快晴の空。昨日とは違う顔を見せる道を走る。朝だというのに日が暑い。しかし走りやすい道は、走行距離をぐんぐんと伸ばしてくれる。

そして島を渡るたびに通る巨大な橋!あんな巨大な橋を渡るのかとワクワクしながら走っていける。

橋は自転車と歩行者は専用のレーンがあり、歩行者はまずいないのでほとんど貸切状態。レーンも広いので、とても快適。

巨大な建造物に心躍るのは私だけだろうか?広角レンズを持って来なかったので、コンツアーに活躍してもらう。

昨日ちらっと説明したサイクリングチケット。一枚50円分の価値があり、通行料50円なら一枚、100円なら二枚入れる。なぜだかこの瞬間が楽しい。さっとフロントバッグからチケットを取り出し、料金箱にチケットを入れる俺、格好いい!とかなんとか思ったり。

それにしてもいい天気だ。スカッと晴れてくれた。おかげで日差しはギンギンに降り注ぎ、容赦なく皮膚を焦がし、体力を奪っていく。定期的に休憩所が設けられており、自動販売機もある。本当にサイクリストに優しい。
しまなみ海道はサイクリストの聖地である。この日は平日とはいえ何人か走っているはずだ。そんな人達と交流できればと思っていた。そして、今日は初めてあったサイクリスト(?)は、意外な人物だった。
休憩所のベンチに腰を下ろしていると、明らかにガラの悪い少年がボロボロのママチャリで走ってきた。なにか因縁でも付けられたかと思ったが、普通に挨拶されて戸惑った。誰とでも平等に接するのが私の信念である。というかなぜ私に話しかけた。そんなにガラが悪く見えたのだろうか?自慢じゃないが笑顔が自慢の26際(独身)なので、そうだとしたら心外である。
話を聞くと、どうも家を追い出され、とりあえず九州に向かているらしい。なんというか、今回の旅で出会う人の9割は九州に向かっているのな。九州に向かっているとはいってもあてもなく、金もなく、つまりは「人生詰んだ」状態だった。とりあえず飛び出してきたものの、実際これからどうするのか本気で迷っているようだった。そうこう話しているうちになんだか人生相談になり、1時間近く話し込む。少年よ、話す相手を間違えているぞ。
はっきり言って「頑張れ」としか言えない。実際私も似たような境遇だ。「追い出された」か「追い出た」かの違いだけで、人生迷っていることには変わりないのだ。

今後の道の助言だけして別れ、走行再開。終始絶景で、景色に飽きない。車通りが少ないのに、道路はしっかり整備されており、本当に走っていて気持ちがいい。

しまなみの名の通り、いくつもの島がおりなす光景は一見の価値ありです。

今日は空気が澄んでおり、島がよく見える。広角レンズが欲しい…。

その後も順調に通過。橋を渡るのは楽しいのだが、さすがに最後のほう飽きてきたのは秘密だ。

無人の休憩所だけでなく、道の駅の多さも特徴。10キロにひとつぐらいのペースであるんじゃないかと思うほどで、休憩には困らない。昼は道の駅で食べたが、セルフサービスの水をひたすら飲む姿は、一般客にはどう見えたのだろうか?

日差しが強いとは思っていたが、昼になるとヤバイぐらい強くなる。休憩回数も必然的に増える。日陰ごとぐらいのペースで休むが、なかなか体温は落ちない。なので、道の駅があれば、そこで涼むようにした。サイクリングチケットにはクーポン券がついており、それを使えばいろいろな割引が受けられる。ここではソフトクリームが50円引きとなるので、使わせてもらった。
キンキンに冷えたソフトクリームは、火照った体に丁度良く、走る気力を回復させる。

ちなみにたくさんのサイクリストにお会いしました。すれ違う人には片っ端から挨拶し、返事が返ってくると本当に嬉しい。が、かえってくる確率は低く、五人に一人ぐらい。だいたい「え?誰?」みたいな顔されて無視される。笑顔か?笑顔が足りなかったか!

そんなこんなで楽しいひとときも終わり、しまなみ海道を突破。その後近くのホテルに向かう。どうでもいいが今日のホテル、過去最高の金額である。今まで最高で3800円だったが、本日は4500円越えである。一気に記録更新。高いからといって設備がいいわけではなく、サービスも良くはない。これで近辺では最安値なので、観光地のホテルの高さには驚くしか無い。あと40キロ走れば安い宿もあったが、そこは明日のフェーリ乗り場付近なので、旅が終わってしまうのでやらない。良かったのは自転車をホテルの中で保管してくれたこと。自転車との宿泊は慣れてるぜ、という感じだった。まさか自転車管理代込だったのか?


明日は松山港を目指し、フェリーに乗ります。距離は40キロとそう遠くはなく、フェリーの出発も夜なので、かなり余裕があります。というか時間余りすぎて暇しそうです。でもフェリーに乗れば次の日には福岡。少し(50キロ)走れば実家。それで旅のプロローグは終わりです。
今日が最後のホテル泊。もうキャンプ道具も使わないので、一足先に送っておこうかと思いましたが、どうせなので最後まで連れていきます。このロードバイクとこんな旅をするのもあと僅か。急遽準備した割にはよく頑張ってくれました。あともう少しだけ一緒に頑張ろう。