続3日目


道の駅「くにさき」〜道の駅「ゆふいん」
(上の地図と現在地はかなりズレてます)
今日のまとめ「すっごい疲れた」
昨日と打って変わって静かな夜。木々のざわめきと波の音。大自然が奏でるアンビエントミュージックをBGMに就寝。
なお、あまり知られていないが私は「夜に一人でトイレに行けるタイプ」の人です。なので夜中にテントから這い出てトイレへ。テントに戻ろうとして衝撃に事態が発生する。テントの場所が分からない!
というのは冗談で、見事に周囲から隠れていた。いろんな場所にテントを張ってきたが、たぶんこういう風に「目立たない」場所に立てるのが一番安全だと思う。
朝3時起床。騒音などではなく、寒さで目が覚める。日中は暑いが夜中の冷え込みがすごい。後で気づいたが、テントのベンチレーションが全開だった。そりゃ寒いわ。

6時前に起きてテント撤収。海岸を見ると丁度水平線から朝日が昇っていた。薄い雲があるが、昨日のような曇天ではなく日差しが拝める。やはり晴れたら気分がいいものだ。
道の駅でカップコーヒーを買い、買っていたパンを食べて出発。カップコーヒーがギョッとするほど美味しくなかったでござる。

今日も引き続き海岸線を走る。湯布院へいくなら海沿いを走るのは遠回りだが、走りたい道を走る。大分空港の横を走り、ひたすら海岸線。途中から気づいたが、ずっとサイクリングロードを走っていたらしい。車道を通らなくていいのは本当に助かる。

浜辺で時折休憩しつつ、まったりと進む。道中写真を撮っていると、地元の人にシャッターを切ってもらえた。今回三脚を忘れたので自分が撮れないのが悩みだったので有り難い。
ぐんぐん進み、日もだいぶ登ってきた。昨日一昨日は開店休業だったソーラーパネルもようやく本領発揮。電子機器が生き返る。ただ、今日までエネループは8本消費。一日4本ペース。ガーミンが増えてiPhoneのバッテリー消費が減るかと思えば、ガーミンへの充電もあって結局プラスマイナスゼロである。iPhoneのバッテリーに余裕ができたら、その分使ってしまうのがネットジャンキーの私らしい。エネループの数には余裕があるが、エネループの充電は一度に4本しかできず(買い足した充電器は故障)、時間もかかって手間である。最近は超大容量モバイルバッテリーがかなり安くなっているし、買ったほうがよかったかも。
9時をすぎ、たまたま見つけたファミレスでコーヒーブレーク。というのも、今日の目的地を決める作戦会議のため。
ファミレスのモーニングのコストパフォーマンスの良さはやっぱりイイネ!
明日は雨かと思っていたが、ここにきて"つき"が回ってきた。なんとか天気が持ちそうである。となると、このまま"やまなみハイウェイ"の前線基地である道の駅「ゆふいん」まで行ってしまうか?
朝からの上機嫌に別府を経由せずに真っ直ぐ湯布院へ向かうルートをとる私。地獄はここから始まった。
出発してまもなく、後ろブレーキから異音がした。昨日調整したばかりなのになぜ?見ると、ブレーキシューの周りには金属の糸くずが絡まっていた。間違いなくリムを削っている。ブレーキシューを外してみると、いくつもの小石(金属片?)が突き刺さっていた。なぜか片方だけ。道の途中でドライバー片手に掃除。
コンビニで小休止し、海岸線ともお別れ。湯布院へ向かうために山越えが始まる。道の駅まで20キロ。丁度正午を迎えたところで、2時には到着できそうだ。
しかし、ガーミン先生が指し示す道が、どうも様子がおかしい。目の前に見えるのは壁を見間違うほどの坂。車一台通れるかどうかの狭い道で、このときほどガーミン先生を疑ったことはない。横の大通りを進もうかと思ったが、迷子になったらタイムロスだし、さすがにこんなにも急な坂は長くは続かないだろう。

登坂開始5分後、そこには生き絶えた亀猫の姿があった。いや、いつまでつづくのこの坂!?斜度はざっと20パーセントは越えている。そこで自転車のリミッターを解除!これよりインナーギアの使用を許可する!
インナーギアとは前三枚あるうちの一番小さなギア。これまで佐渡島の壁や北海道の頭おかしい坂を登るのに使用。通算三回目の使用だ。しかし焼け石に水で、インアーギアを使っても登れない坂だった。仕方なく押して登るが、踏ん張りのきかないSPDシューズで登坂は苦行である。

途中分かれ道があり、どうやら片方は土砂崩れで通行止めらしい。登りと下りの道、どっちが正解か…。登りで行き止まりだったら悲しいので下りから。

これで通れればいいのだが、世の中そんなに甘くなかった。再び地獄の登坂開始。

もう無理!なんだこの坂!何が何でも設計に無理があるだろう。さらに斜度はきつくなり、ついに靴の摩擦が自転車の重みに耐えられなくなった。これ以上押して歩くことはできないので、バッグを外して荷物と自転車を別々に持って行く。最初のピークを越えたが、登りはまだまだ続く。

1時間かけて進んだのは5キロ未満。先ほどまで海沿いを走っていたのに、気がつくと標高200メートルを指していた。今日は日差しがあり、気温もぐんぐん上がる。ボトルの水もどんどん消費し、このときついにボトルの水が無くなってしまった。
しかしこの坂を越えれば何かあるだろう。そう信じて坂を上った。

標高300メートル。様子がおかしい。坂が終わる気配がない。さらに周囲に人の気配が無くなり、見渡す限りの大草原が広がっていた。なにこの既視感。ああそうか、北海道か。
標高400メートル。坂はまだ終わらない。自動販売機も見つからず、のどが渇いてくる。暑い。ずっと登りっぱなしで筋肉が熱を帯びている。そろそろ何か見えてくるはず…。
標高500メートル。一瞬ハイになる。
標高600メートル。頭がふわふわする。これは危険だ。どこかで休憩しなければ…!それにしても坂の上に見えるあの影はなんだ?人じゃない?バイクでもない?自転車でもない?なんだあれ?ついに幻覚でも見えるようになったのか!?

影の正体は近くの乗馬クラブの馬とその騎手。少し会話を交わすと、不思議と元気がわいてくる。馬の力、略して馬力を得た私は一気に坂を駆け上がった。
標高700メートル。もう無理。坂は一向に終わる気配がない。乗馬クラブがあったぐらいで周囲に建物といえるものは何もない。怪しげな店はあるが、そこに入る勇気は売り切れ中だ。ここで休むべき否か。上りながら本気で迷う。休憩しないのは、ここで休んだらもう動けないんじゃないかという不安があったから。よい子は真似をしないでね。
標高800メートル手前。もう限界に思えたとき、目の前から坂が消えた。これは…下り坂だ!ボトルに残った最後の水を絞り出し、体調を確認。大丈夫、下れる。そしてダウンヒル開始。
まさかこんなヒルクライムがあるとは予想外だった。いつもはマップルの等高線を見ているのだが、今回はガーミン頼みでそれを見ていなかった。やはり一つの情報に過信せず、しっかりと情報を仕入れるべきと反省した。
少し下ると集落があり、そこにあった自動販売機で休憩。位置を確認し、道の駅がもうすぐであることを確認した。

すぐに湯布院市街に到着。観光地らしく、人も車も多い。とりあえず道の駅の場所を確認しようと先を急ぐが、道が狭い。車が多くて道が狭く、歩道はおろか路肩のない道。自転車にとって最悪のコンディションだ。車におびえつつ、さらに登りが続く。…もう、勘弁してくだちい。

道の駅に到着。このときはもう疲労でクタクタであった。フラフラと食堂に行き親子丼を食べる。疲れ切っていたので、もうすぐにでも寝たい気分だった。しかし昨日から風呂に入っておらず、さらに今日も汗をかいたので気持ち悪い。せっかくの温泉街なので、お風呂に入りに行くことにする。

先ほどの道は自転車殺しだったので別の道をチョイス。あまりいい道ではないが、先ほどの道と比べればかなりマシ。ガーミンのナビなしで走っていると案の定道を間違え、超遠回りして湯布院市街に戻る。

ツーリングマップルによると「下ん湯」という浴場が書いてあったので、そこを目指す。少々分かりにくい場所にあったがなんとか到着。
単刀直入に言うと、いいお湯でした。混浴タイプで見た感じの敷居が高いため、かなりの観光客が入っていいか戸惑っていた。慣れた手つきで入っていく私。この手の浴場にはなれつつあった。

とにかく今日の午後は大変だった。筋肉を酷使してあちこち痛い。たぶん明日にもこの疲れは残るだろう。本当はどこかに泊まりたかったが、今日は土曜日、どこも部屋は空いていなかった。これから道の駅に戻って野宿と考えると、なんとなく気が重い。
だけどそんな疲れた今日だから、温泉が格別に気持ちよかった。丁度露天風呂からは夕日が沈むのが見える。
朝日を拝んで夕日も拝めた。終わりよければすべてよしと言うし、悪い一日じゃなかったのかもしれない。
と、いい感じにまつめつつも、今日はまだ終わりではない。コインランドリーで溜まった洗濯物を洗うと、外は真っ暗。道の駅へ向かうためには向かったときのルートと、銭湯に行ったときの復路がある。はじめのルートは危険なので二番目のルートを使おうと思ったが、そもそも間違ったルートだし、はじめのルートに比べ曲がり角も多い。ちょっと進んで迷いようがないはじめのルートを選択。
暗い夜道は不安になる。ただ真っ直ぐ進めばいいのだが、それでもこの道があっているのか、ちゃんと前に進んでいるのか不安になる。だけどガーミンは夜中でもバックライトで状況を知らせてくれる。ナビがあると、こういうとき本当に心強い。今日はガーミンに振り回された気もしたが、ガーミンは淡々と仕事をこなしただけだ。もっともっと分かり合おう。

汗だくになりつつ道の駅に到着。通りすがりのライダーと少し話し、テントを設営。キャンピングカーも多いこの道の駅。「キャンピングカーがいる道の駅は安全」とはkakutenさんの言葉。こういう道の駅の弱点として夜中でもエンジン音が五月蠅いのが玉にきず。
ココアを飲んでテントの中へ。こうして今日あったことをまとめていると、毎日が濃い。あの朝日を拝んでから夕日を見るまで、いろいろありすぎて本当に一日だったのか疑いたくなる。まあつまり、とっても疲れました。
明日からはついに目的地「やまなみハイウェイ」入りです!でもそろそろホテルに泊まって疲れをとりたい気もする。今日だいぶ回復したとはいえ、電子機器のバッテリーもギリギリだし。