36日目

道の駅「あいおい」〜レストラン「ぽんと」

あなたには見えますか?この絶景!
「もうやだ北海道!」

と、ついに禁断の言葉を口にする時が来た!が、今日の終わりにはそんな気持ちは吹き飛んでいた。嫌なこともいっぱいあるけど、そんな北海道でも面白い。本当に不思議な場所である。

今日から台風を避けるため、ライダーハウスに連泊します。



昨夜は8時半に電源が落ちました。お、思ったより早く寝れる。
ぐっすり眠り、気持ちよく起床!さあ何時だ?




1時半



…寝よう。
そんなこんなで6時起床。外はいつも通りグレーの空で、風も吹いている。外は寒そうだ。トイレと缶コーヒーを買うため道の駅へ行く。服を着込んで出たものの、思いの外寒くない。今日は南風で、暖かい風が吹いていた。
買っておいたパンを食べ、出発の準備にかかる。が、どうしよう。今日は南風だ。美幌までは追い風になるだろうが、美幌峠を向かい風の中越えることになる。予報では3メートルの風だが、実際はそんな穏やかな天気ではない。そして今日の夜はともかく、明日の昼は台風の影響でかなり荒れる。できるなら今日、明日と屋根と壁のあるところで泊まりたい。しかし、この辺だといくら安くても二日で7000円の出費だ。最近貯金の減り方が激しいので、節約のため家計簿を付け始めている。その結果、いかにビジネスホテルの宿泊が貯金に負担を与えているか分かった。
ここにとどまるか、どうするか。外には観光のバスが停車するのが見えた。すぐにここは見せ物小屋になる。とにかく進もう。進めば、なにかあるはずだ。

美幌までは下り坂でかつ追い風だ。ほとんどペダルを回すことなく美幌に到着。喫茶店のような座れるところで作戦会議をしよう。だが、美幌は思った以上に田舎だった。喫茶店も開いてるのか閉まっているか分からない。仕方なくセイコーマートへ。しかしセイコーマートで時間はつぶせない。
どうしよう?本気で困る。ベンチ(のようなオブジェ)に座って地図を見るが、新しい道ができるわけではない。



美幌峠を越えよう。



天気は良くない。もう見慣れたグレーの空。雨もぱらつきだしている。もし美幌峠へ行っても、屈斜路湖を拝むことはできないだろう。観光のために北へ進路を取ったので、この天候の中美幌峠へ行くのには抵抗があった。しかし、峠を越えなければライダーハウスは無い。うっすらと雲の間から太陽の輪郭が見える。もしかすると、晴れるかもしれない。わずかな希望を抱いて、美幌峠へ進路を取った。

途中、高校のマラソン大会に遭遇した。みんな頑張れ!私も頑張る。
というのも、美幌峠までは緩やかな坂だが、向かい風だった。この道が、ここ最近で一番つらかった。荷物をたくさん積むと重量ばかり気になるが、実はそれ以上に空気抵抗が増えている。風は坂以上に大敵なのだ。美幌峠に着く頃には足はパンパンだ。だが、これからが坂なのだ。
坂は普通につらい。疲れているのか分からないが、この道もここ最近で一番しんどかった。向かい風も強い。久しぶりのダンシング(立ち漕ぎ)。長い坂は慣れている。その坂の頂上は、グレーの空に消えていた。いや、あれは…。
今日は日曜日だ。走っているバイクも軽装で、おそらく地元のライダーだろう。しかし妙だ。みんな合羽を着ている。寒さ対策かな?なんて思っていたが、真相は少しして分かった。
一際大きな坂を越えると、風がやんだ。そして、辺りには白い靄に包まれる。濃霧だ。視界は500メートルを切っていた。霧の中から対向車が突然現れる。フォグランプをつけていればうっすらと分かるが、最近のLEDヘッドライトの白い光は霧の中では分かりにくい。
濃霧で少し進むと体はびしょびしょだ。そうか、あのライダーたちはこれだから合羽を着ていたのだ。

道路の脇には広大な風景が広がっているのだろうが、何も見えない。ただ、白い。何も見えない上り坂を淡々と登る。ネガティブな考えばかり浮かぶ。何も考えいないようにしよう。

そんなこんなで道の駅「ぐるっとパノラマ美幌峠」に到着した。もうこの名前も嫌みしか聞こえない。霧が濃すぎて入り口が分からない。視界はますますヒドくなり、200メートルを切っていた。どのくらいかというと、道の駅の駐車場の入り口に入っても、道の駅の建物が見えないぐらいだ。もちろん道の駅からパノラマなんて拝めるわけがない。
時刻は1時過ぎ。昼食をとろうと思ったが、高い。とりあえずコーヒーを頼んで休憩。食堂から外を見ると、近くにあるはずの道路が見えない。霧が晴れる気配はない。これからダウンヒルなので、できることなら晴れて欲しい。北海道は普通にセンターラインをはみ出して走る車が多いので、視界が悪いのは死活問題だ。晴れて欲しいが、たぶん無理。どうしよう?だいぶ早いが、ライダーハウス入りしてしまおうか?
外を見る。気のせいだろうが、霧が深まっているようにも見える。もう少し待ってみよう。
そうこうしていたら体も冷える。この状態で霧の中を下るとまず間違いなく風邪をひく。
体を暖めなければ!食事するつもりはなかったが、食事しよう。比較的安いカレーをチョイス!が、このカレーがなかなかいけていて、ペロリと食べてしまった。
体も温まった、よし行くぞ!
建物から出た瞬間、風が吹いた。その瞬間、暖まった体は一瞬で冷えてしまった。なにこれ寒い。
雨は降っていないのに、自転車はびしょびしょ。あちこちから水滴が滴っている。オルトリーブのバッグでなければ荷物は悲惨な状態になっていただろう。しかし、この中をダウンヒルというのはやはり気が重い。合羽を着込みダウンヒル開始。視界悪!ブレーキ利かない!そして超寒い!早く下りきってくれー!
下っていくにつれ霧も晴れる。ほっとしたのも束の間、次は雨。そうか、雨雲の中だったか…。
途中木々の間からうっすら屈斜路湖が見えた。晴れていれば展望台からあそこが見れたのに!
雨の中こぎ続け、ようやく下界に出た。が、ずっと下りかと思えばライダーハウスまでしばしの登り。もう疲れたよ…。
ライダーハウスに着くと、すぐに店の人が自転車を止める場所を教えてくれた。今日明日の寝床は「レストランぽんと」。店内は綺麗で、それでいて家庭的で落ち着く。荷物を置き、しばし休憩。部屋には私一人。今日も一人なのかな?と思っていると店の前に一台のバイクが。仲間か?と思ったら、宿泊客だけど超常連の方らしい。部屋は別だそうだ。私を見たその人は、少し姿を消したと思ったらアイスを持ってきてくれた。ダウンヒルで冷えた体も、最後の登りで暖まっていた。有り難い。しかし服は汗やらでびしょびしょだ。このままだと本当に風邪を引くので、近くの温泉で暖まらないと。荷物を再び自転車に乗せ、出発の準備。それを見たお店のおばちゃんが引き留め、車で送ってあげるよと言ってくれた。バイクの人もおばちゃんが言わなければバイクに乗っけていく予定だったらしい。そんなわけで3人でコタン温泉へ行き、私とライダーの人はコタンの露天風呂へ。
コタン温泉は、無料の露天風呂としてはあり得ないほど綺麗だった。ライダーの人と話しているとなんと同郷の人で、話が盛り上がる。雲のかかった屈斜路湖を見ながら、露天風呂を楽しむ。いい温泉だ。晴れていれば屈斜路湖に沈む夕日が見れて、そのあとは満点の星空が拝めるそうだ。
今日もいろいろと嫌なことがあった気がしたが、もうどうでもいい。いろんな人に助けられ、こうやって温泉で休めているのだから。
帰りも車で送ってもらいお店へ戻る。戻ると別の車が止まっていた。どうやら宿泊の人らしい。ということで、今日は合計3人の宿泊だ。久しぶりに孤独な夜を感じずにすむ。
車の人とは部屋が同じなので、いろいろと話す。ドライバーの人と一緒になるのは初めてだ。この人も明日まで連泊だそうだ。
そんなこんなでサッポロクラッシクで乾杯。3人の夕食は賑やかに過ぎていく。やっぱり、食事は多い方がいい。
食事が終わると、おばちゃんが部屋を分けてくれた。各自一部屋ずつ。
荷物を動かし、一人の部屋。けど、昨日みたいに孤独ではない。
部屋でまったりとブログの更新作業。作業ついでに、ちょっとパソコンをいじる。あとiPhoneも少々(jailbreakとかそういう危ないのじゃないよ)。今後、画像のアップロードが少し増えるかもしれません。ふふふ…。

明日は台風なので「ぽんと」でまったりします。それ以降はこの辺を少し観光し、東へ向かいます。個人的に屈斜路湖が一望できなかったのが心残りなので、もう一度峠に登りたいところです。しかし美幌峠は一度登っているので、となると津別峠しかありません。明後日以降、天候が良ければ津別峠を攻めるかもしれません。が、地元の人曰く、この辺は台風過ぎたら冬(0度の世界)だとのこと。そんなバカな。旭川で冬装備を整えたとはいえ、体は南の人間。寒い世界は体が持たない。納沙布まで行けば終わりではなく、帰りも考えないといけないし、やはり最大の障害は天候か。


オマケ 今日のどうでもいい情報
北海道は「蠅」が多い。やっぱり牛のせい?
あと「ぽんと」の周りにはやけに猫が多い。かわいい!少しモフる。甘い声で店に入ろうとするが、店には入れさせない。あー猫飼いたい。